お子さんの癇癪でヘトヘトになっている親御さんにとって、何より気になることは『いつまで続くのか?終わる日は来るのか?』ということだと思います。
私の経験からすると、癇癪は必ず落ち着いていきます。
ですが、癇癪が落ち着くまで、ただ我慢しているのは辛いですよね。
家族が疲弊してしまう前に、癇癪の原因をよく見極めることで、状況を変えていくことができるかもしれません。
私の娘は、赤ちゃんの頃から手がかかりました。
寝ない。食べない。癇癪を起こして泣きわめく。
3歳の頃は、イヤイヤ期で癇癪もさらにパワーアップ。
私もつい怒鳴ってしまい、自己嫌悪に陥る。
子育てがつらくて涙があふれてくる。
こんな日が、いつまで続くんだろう?
癇癪は治らないものなのだろうか?
そんな娘も、高校生になりました。
今、癇癪を起こすことはありません。
癇癪は起こさなくなったけれど、新しい悩みが現れて、今も奮闘しながら子育てをしています。
娘を育ててきて感じたこと、反省したこと。
何か伝えられることがあったらいいなと思い、私の経験を書いてみることにしました。
癇癪は何歳まで続いた?
ネットで見かけるのは、「子どもの癇癪は、5歳頃になると落ち着いてきますよ」という言葉。
しかし、そう簡単におさまらない子もいます。
娘の癇癪がおさまったのは、中学2年生頃です。
中学1年生までは、毎日のようにギャーギャーわめいていました…。
自分が納得いかないことがあったり、思うようにいかないことがあると、ものすごく怒る。
こたつをひっくり返したり、壁を蹴ったり…。
私や夫は、引っ掻かれたり、首を締められたりもしました(; ̄Д ̄)
中学生になると、体も大きくなるし、力も強くなりますから…。
あちこち傷だらけ…
一度爆発してしまうと、怒りが抑えられないですよね…。
こっちもついイライラして、言い返してしまう。
すると、ますます娘の怒りはエスカレートする。悪循環。
もう、本当に疲れきっていました。
どうしたらいいんだろう?
ネットで調べたり、本を読んだりもしました。
「お子さんの気持ちに寄り添ってあげてください。」
「お子さんを抱きしめてあげてください。」
そんなこと、わかっているわい!
わかっている。だけど、心の余裕がない。
つらい。
どうやって乗り越えた?
小さい頃は、もはやお手上げ状態でした。
「なんで怒っているの?何が嫌なの?」と聞いてみても、
「何がじゃない!」と余計に怒り狂ってしまう…。
もしかしたら、娘自身も、何が不快なのか、なぜこんなに怒りが込み上げてくるのか、はっきりわかっていなかったのではないかと思います。
今思えば、感覚過敏の娘は、音や光、周りの環境から受けるストレスが人一倍大きかったに違いありません。
普通の人は流せることでも、気になってしまう。傷ついてしまう。
それを理解できていなかったので、あらゆる方法を試しては、うまくいかずに落ち込みました。
神社に行って、かんの虫封じの御祈祷をしてもらったり、お札を買ったこともありました。
小学校高学年頃になると、だんだん気持ちを言葉にして伝えられるようになったので、とにかく会話をするようにしました。
「どういうことを嫌だと感じるか。どうしたいのか」
娘の言っていることが納得できないと思っても、絶対に否定しない。
そこで、「でもね、」と上から意見を言うと、心を開いてくれなくなります。
とにかく聞いてあげる。
どうやったら解決していけるかな。こういう風にしてみたらどうかな?
とにかく辛抱強く話し合いました。
ギャーギャーわめくのではなく、言葉で怒りを伝えるようになって、だんだん落ち着いてきたような気がします。
ちょうど、心も体も成長して変化していく時期だったのかもしれませんが、中学2年生頃になると、今までならすぐにカッとしていたことも、おさえられるようになりました。
癇癪がおさまっても、問題は解決しない?
中学3年になり、娘は鬱(うつ)になりました。
癇癪をおこしてギャーギャーわめいていた頃からは想像できないほどに、沈み込んで、部屋に閉じこもる毎日。
なんとか高校には進学できたものの、今も、心療内科に通院しています。
癇癪がひどい子供は、きっと、何かに敏感であったり、感受性が強かったり、脳の機能の発達に特徴がある場合が多いのではないかと思います。
だから、癇癪はおさまったとしても、その性質は別の形になって現れてくるのかもしれないと思いました。
娘の場合は、「癇癪」の後に「うつ」がやってきました。
そしてこれから先も、何かしら問題と向き合っていくことになるのかもしれません…。
そして考えました。
いろんな感情をつかさどっているのは、脳ですよね。
癇癪を起こして怒り狂っているとき、うつになって沈み込んでいるとき、娘の脳はどんな状態になっているんだろう?
なぜそういう行動を取るのか、そういう考え方に向いてしまうのか、そういうことがわかれば、納得できるというか、何か対処の仕方を考えることもできるのではないか?
本の紹介 癇癪はコントロールできる?
癇癪と脳の関係を知りたくて、本を読んでみることにしました。
出会ったのが、この本です。
「落ち着きがない」の正体
スチュアート・シャンカー
英語のタイトルは
SELF-REG How to Help Your Child(and You)
Break the Stress Cycle and Successfully Engage With Life
この本は、343ページある上に、ちょっと文字が小さめ。
難しい言葉が出てくることもあり、めちゃめちゃ眠くなって、何度も途中で意識がなくなりました。
ですが、脳の仕組みが解説されているのでとても納得できるし、娘にも実践できそうな気がしました。
気になった方は、ぜひ読んでみてください。
少し本の紹介をします。
我が子の敏感すぎる反応をやわらげる『セルフ・レギュレーション(自己調整法)』という提案
じっとしていられない、集団になじめない、すぐに癇癪を起こす…
脳はなぜ、周りの子とちょっと違う行動を命じてしまうのか。
脳科学に基づいた理解と触れ合いが、親子のストレスサイクルを断つ。
著者プロフィール
ニューヨーク大学(カナダ)名誉教授。専門は心理学と哲学。セルフ・レグの実践・普及をめざすMEHRITセンターの創設者。ユニセフ「乳幼児期の子どもの発達(ECD)協議会」前委員長。
トロント大学にて学士号と修士号を取得。オックスフォード大学で哲学博士号を取得。国際的な実績を積み、カナダ、アメリカ各地のさまざまな政府機関にて乳幼児の発達に関する顧問を務めてきた。
ニューヨーク大学(カナダ)名誉教授。専門は心理学と哲学。セルフ・レグの実践・普及をめざすMEHRITセンターの創設者。ユニセフ「乳幼児期の子どもの発達(ECD)協議会」前委員長。
トロント大学にて学士号と修士号を取得。オックスフォード大学で哲学博士号を取得。国際的な実績を積み、カナダ、アメリカ各地のさまざまな政府機関にて乳幼児の発達に関する顧問を務めてきた。
自己制御というのは、衝動を抑えること。
それに対して、自己調整は、衝動の原因を認識しそれを弱め、そして必要なときは、衝動に対抗するエネルギーを持つこと。
押さえつけたり、コントロールしようとするのではなく、子供が自己調整力を伸ばしてしていけるようにサポートしていくという考えです。
子供が問題行動を起こすときは、すでにストレス過多の状態になっています。
セルフ・レグ(自己調整法)によって、その原因が何なのかを見極め、ストレスを減らしていく。
自分がストレス過剰になっていることを認識できるようになり、子供が自分自身で調整できるようになることが大切だと述べられています。
セルフ・レグ 5つの基本ステップ
1 サインを読み取り、行動をリフレーミングする。
2 ストレス要因を見きわめる。
3 ストレスを減らす
4 自分と向き合い、自分がストレス過剰になった状態に気づく。
5 答えを出す。あなたを落ち着かせ、くつろがせ、回復させる手段を見つける。
1 サインを読み取り、行動をリフレーミングする。
2 ストレス要因を見きわめる。
3 ストレスを減らす
4 自分と向き合い、自分がストレス過剰になった状態に気づく。
5 答えを出す。あなたを落ち着かせ、くつろがせ、回復させる手段を見つける。
確かに、子供が自分自身を制御するなんて、難しい。
『制御』はできなくても、『調整』ならできそうです。
目次
1 脳の仕組みを利用する
なぜ落ち着けないのか/セルフ・レグの視点でマシュマロ・テストを読み解く/赤ちゃんに「ささいなこと」などない/絡み合ったストレスをほどく
2 5つのストレス領域を知る
生物学的領域―食べる・遊ぶ・寝る/情動の領域―泣く・笑う・騒ぐ・怒る/認知的領域―記憶する・注意を払う・集中する/社会的領域―友達をつくる・学校に通う・グループ活動に参加する/向社会的領域―共感する・思いやる・敬う
3 思春期と付き合う
思春期の力と危機/子どもたちを虜にする刺激/ 親にもセルフ・レグが必要だ
まとめ
子どものサインに気づき、セルフ・レグの習慣を育てる12の方法
1 脳の仕組みを利用する
なぜ落ち着けないのか/セルフ・レグの視点でマシュマロ・テストを読み解く/赤ちゃんに「ささいなこと」などない/絡み合ったストレスをほどく
2 5つのストレス領域を知る
生物学的領域―食べる・遊ぶ・寝る/情動の領域―泣く・笑う・騒ぐ・怒る/認知的領域―記憶する・注意を払う・集中する/社会的領域―友達をつくる・学校に通う・グループ活動に参加する/向社会的領域―共感する・思いやる・敬う
3 思春期と付き合う
思春期の力と危機/子どもたちを虜にする刺激/ 親にもセルフ・レグが必要だ
まとめ
子どものサインに気づき、セルフ・レグの習慣を育てる12の方法
セルフ・レグを始める
娘の『癇癪』や『うつ』も、何らかのストレスで引き起こされていると思います。
ストレスはひとつではなく、いくつか重なっているかもしれない。
娘がストレスに感じることを挙げてみることから始めました。
・光がまぶしい
・不快な音がある
・大きな音にびっくりする
・弟のゲーム音が不快
・隣の工場から聞こえてくる音が不快
・周囲がガヤガヤしていると、人の話し声を聞き取れなくなってしまう
・暑いのが苦手
・頭痛がする
・腹痛がする
・父親の無神経な言葉に傷つく
・友達の言葉に傷つく
・学校を休んでいることへの不安
・不快な音がある
・大きな音にびっくりする
・弟のゲーム音が不快
・隣の工場から聞こえてくる音が不快
・周囲がガヤガヤしていると、人の話し声を聞き取れなくなってしまう
・暑いのが苦手
・頭痛がする
・腹痛がする
・父親の無神経な言葉に傷つく
・友達の言葉に傷つく
・学校を休んでいることへの不安
娘は赤ちゃんの頃、ちょっとした物音で目を覚ましては、ギャーギャー泣き叫ぶので、昼寝を始めたらできるだけ物音を立てないように静かにしていました。
そんな様子を見た私の母は、よくこう言いました。
「神経質過ぎるんじゃないの?過保護に育てるから、よけいに敏感になるんだよ。昔はたくさん家族がいて、ガヤガヤした中で育てられたから、たくましくなったんだよ」
そうなのかな。もっと騒がしい環境に慣れさせた方がよかったのかな。
娘が敏感になってしまったのは、私の育て方が間違っていたのかも…。
後悔したこともありました。でも、この本を読んで、間違ってはいなかったと自分を信じることができました。
騒がしい音が嫌いな赤ちゃんにとって、それに慣れるということはとても難しく、ストレスがさらに大きくなっていくだけなのだそうです。
あまり神経質になりすぎるのもよくないですが、原因を知って、それを取り除き、ストレスを減らしていくことは大切です。
気分が落ち込みがちの娘…。
ただ漠然と不安を感じているよりも、今何が一番不安で、何が辛いのかを考えてみることで、小さなストレスは解決できるかもしれない。
不安になったり、憂鬱になってきたら、ストレスリストを見る。
そして、そのストレスを解消できる方法があるか考えてみる。
隣の工場の音が気になる
→イヤーマフをつけたり、ヘッドホンで音楽を聞いてみよう
学校を休んでいるから、単位が取れるか心配だ
→授業を受けるのではなく、レポート提出で単位を取るクラスに変更することも検討してみよう
うつは難しい…。
単純に「これが原因」って言い切れないし、原因がわかっていても沈んだ気持ちを簡単に変えていけるものではない。
だけど、何もしないよりはいい。
自分を知る、自分で考えるってことは大切だと思うので、「セルフ・レグ」を続けてみたいと思います。
お子さんが癇癪を起こす原因になっているストレスはないか?
もう一度よく見直してみることで、状況が変わっていくかもしれません。
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