センスがよいとか、おしゃれに見えるものが、よいデザインなの?
そもそも「デザイン」って何だろう?
意外とわからないものです。

私は今、ハンドメイドサイト『minne』で、缶バッジやキーホルダーを販売しています。
感覚過敏や聴覚に障害があること、食物アレルギーがあることを周囲へお知らせするためのグッズです。
デザインの仕事の経験はないので、自分なりに考えてやってきました。
しかし、お客さまからリクエストをいただくようになり、『どうすれば見やすくて、伝わりやすいデザインになるのか』ということを考えるようになりました。

よいデザインってどういうものなのか。大切なことは何なのか。
あらためて考えたり調べてみて、気付いたことを書いてみたいと思います。

最近、ハッとさせられた記事がありました。
ビジネスプロデューサー スギムーさんの「SoulWorks」というブログ。

デザインは、アートではなく、疑問や課題、不便さなど、問題に対して「答え(解決策)」を示すもの
ということが書かれていました。
デザインは相手のためにあるんですよ。
自己表現でも、自分の作品を残す場所でもなんでもない。
人の生活、人の人生を見ること。
彼らの問題を知ること。
その問題を解決する最適解を表現すること。
それこそがデザインに求められる態度なのだということです。

SoulWorks

デザインは、アートとは別のものなのですね。先に相手がいるということ。
相手の立場になって考えていく中で、よいデザインが生まれていくのかな…なんて思いました。

私の商品の目的は「周囲へお知らせする」こと
ヘルプマークの補助的なアイテムとして使用しているお客様も多いです。
ヘルプマークの存在を知らない人でも、缶バッジを目にすることで気づいてもらえるかもしれない。
バッジは小さいので、全てを伝えるのは難しい。
詰め込みすぎて、ごちゃごちゃしないように気をつけています。

最近耳にして気になっていた『カラーユニバーサルデザイン』についても調べてみました。
東京都のカラーユニバーサルデザインガイドラインがわかりやすいので、引用します。
色はだれにでも同じように見えているわけではありません。ある人にとって区別しやすい配色が、別の人には区別しにくいことがあります。また、加齢に伴い、色覚機能が弱くなる場合があリます。
カラーユニバーサルデザインとは、多様な色覚に配慮して、情報がなるべくすべての人に正確に伝わるように、利用者の視点に立ってデザインすることを言います。

東京都カラーユニバーサルデザイン

感覚過敏の娘を育ててきて、自分が普通に感じてきたものは、実は普通ではないんだということに気づきました。
音の聞こえ方、光の感じ方、ものの見え方…。
自分は「誰から見てもわかりやすい・伝わりやすい」ものを作れているのかなぁ。

私が使っているイラストレーターというソフトには、簡易的な色覚シミュレーションを行う機能がついていることを知りました。
さっそく試してみます。

メニューバーの「表示」→「校正設定」
「P型(1型)色覚」と「D型(2型)色覚」が選択できます。

P1_1


通常の表示は↓
futu1


それぞれの見え方です。
P1_2


D2_2


必ず、黒かこげ茶色でふち取りしているので、見えにくいということはなさそうです。
ふち取りを消してみると、もはやカメは識別できない状態。

P1_1_noline

食物アレルギーキーホルダーの方も見てみます。
「アレルギー」の文字を強調するために、赤色にしています。
gyunyu_moto1

シミュレーションしてみると…。

gyunyu_P1


どの文字が強調されているのかわからない。ほぼ同じ色に見えてしまいます…。
では、わかりやすく目立たせるにはどうすればよいのだろう?

参考になるサイトを見つけました。
京都市情報館「わかりやすい印刷物のつくり方」です。

強調したい部分は、赤ではなく朱色を使う。
赤色を使うなら、ふち取りをする、太字にする、下線を引くなど

color


京都市情報館「わかりやすい印刷物のつくり方」

私の缶バッジやキーホルダーも、もう一度、配色などを考え直してみようと思いました。
ちなみに、私が初めて作ったデザインはこれです。

oto_before


線が細すぎるかな?文字が読みにくいかな?と改良して、現在はこうなっています。

oto_after


イラストがかわいいとおっしゃってくれるお客さまも多いので、『かわいいもの 気持ちが明るくなれるものを作る』という部分は大切にしたいです。
そして、見やすさと伝わりやすさも忘れないようにしよう。
直径4~5センチの丸型に、文字とイラストをおさめるのは、けっこう難しい。
文字が小さすぎたり、文字数が多くて読めないということがないように、試行錯誤の日々です。

ハンドメイドというと、一人で考えて、黙々と作って売る、というイメージがありますが、決してそうではないんですね。
お客さまがいて、どうしたら喜んでもらえるかなとか、役に立てるかなとか、いろいろ考えて作る。
リクエストがあったり、提案があったり、メッセージをやりとりしていく中で、ひとりよがりのデザインではいけないな…。と気付かされることがあります。

デザイン性ばかりに気をとられないように気をつけよう