※この記事は、2019年9月に書いたものです。現在は使用条件等が変わっているかもしれません。

疑問:個人で「ヘルプマーク」を使用してグッズを作り、販売することは可能か?
わかったこと:東京都に申請して許可を得ないと、販売することはできない
(基本的に、ヘルプマークを営利目的で使用することはできない)


ヘルプマークを使用した缶バッジを作って販売したいと考え、東京都に申請してみたけれど、結局諦めた…という私の経験をお話ししてみます。

感覚過敏で苦手なものが多い娘のために、それを周囲にさりげなく知らせることができたらという思いから、グッズ作りをしています。
現在、minneで缶バッジやキーホルダーを販売中です。

新たに「ヘルプマーク」を使用したものを作れないだろうか?と考えたのです。

ヘルプマークとは
義足や人工関節を使用している方、内部障がいや難病の方、または妊娠初期の方など、外見から分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう、東京都が作成したマークで、平成29年7月にはJISの案内用図記号に追加され、全国に普及が進んでいます。

2019年8月時点で、43の都道府県でヘルプマークの配布が開始されています。
各都道府県では、ゆるキャラを取り入れたヘルプカードもあり、それを無料でダウンロードすることもできるようです。

私が住んでいる長野県のホームページから、ヘルプカードをダウンロードしてみました。
赤い四角の中に、白の十字とハートがあるのが、ヘルプマークです。

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そこで、私は安易に
「ヘルプカードを無料でダウンロードできる=ヘルプマークも自由に使用できる」と思い込んでしまったのです。
しかし、よく調べてみたところ、東京都が作成した『ヘルプマーク作成・活用ガイドライン』というものがあることがわかりました。
詳細はヘルプマーク作成・活用ガイドライン(東京都ホームページ)をご覧ください。

それによると…
「デザイン及び配布するヘルプマークともに、公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)、永井氏及び柴田氏に御協力いただきました。
著作権は東京都に帰属するとともに、商標登録をしています

とあります。
さらに
「多様な主体による作成・活用を促すため、一定の要件を満たす場合に、自由に作成・使用できることとします。
なお、作成・活用状況の確認・把握のため、遅滞なく東京都福祉保健局障害者施策推進部計画課に対する情報提供(別紙参考様式)をお願いします。」

とあります。
使用は認められてはいますが、やはり商標登録してあるわけですから、勝手に使用するわけにはいきません。
東京都に申請をして許可を得られなければ、使用してはいけないということですね。

東京都の福祉保健局 障害者施策推進部 計画課に電話をして聞いてみると、個人での使用も可能とのこと。
デザインとしては、全面がヘルプマークのみというように、ヘルプマークだけを単体で使うのは不可だそうです。
私は、缶バッジ(直径44mm)のデザインの一部に、ヘルプマークを使用したいと考えていました。

申請書と一緒に、どのように使用するかがわかるデザインのようなものを提出してくださいといのこと。
申請用紙をダウンロードしてみると、「氏名」、「連絡先」、「作成目的・使用目的」、「作成物・使用物」を記入する欄があります。
申請はメールでも可能ということなので、ワードで入力した申請書と、デザインのPDFファイルを添付して、メールで送信しました。

そして数日後。担当の方から電話連絡がありました。
『少し修正して欲しいところがあります』とのことですが、よくお話を伺ってみると、修正という次元ではないようです。

① 缶バッジは大抵3~4センチという大きさのため、ヘルプマークがかなり小さくなってしまい、認識されにくい可能性が高い。それではヘルプマークの機能を果たせなくなってしまう。
できれば、東京都が配布しているヘルプマークとほぼ同じ大きさで使用してほしい。

② ヘルプマークの上に、少しでもイラストなどが重ならないようにして欲しい。

③ たとえわずかであっても、利益が発生する用途に使用することはできない。


販売する場合は、利益がない(かかった製作費分だけの)価格にするのであれば、検討できるということでした。
そんな大切なことは、最初の電話の時点で教えて欲しかったなぁ…。ブツブツ。

もともと、営利目的でグッズを作っているわけではなく、価格もminneの最低価格で販売していて、利益はあまりないのですが…。
たとえわずかでも、利益が生じてはいけないのだそうです。

東京都が配布しているヘルプマークは、縦×横=約85mm×約53mm程度。
それにさらにイラストや文字を入れたら、直径約10センチくらいのドデカ缶バッジになってしまいます。

そんなドデカ缶バッジを作る意味はあるのか…?
それなら、ヘルプカードをダウンロードして使用した方がよいのでは?

デザインを考え直して、製作費と送料分だけの値段設定にして再度申請してみたところで、絶対に許可をもらえるという保証もありません。

ということで、ヘルプカードを使用した缶バッジを作ることを断念しました。
申請すれば使用できるものと安易に考えてしまいましたが、認識が甘すぎました…。

やはり、ヘルプマークというものは、周囲の人にすぐに認識してもらえるように、大きくて見やすい使い方をしなければいけないものなんですよね。
娘の場合は目立つのを嫌がるため、「さりげなくつけられるもの」と、つい考えがちです。
本来、周囲に助けを求めるお知らせは、目立つものであるべき…。
そこが難しいと感じました。

外見的に普通に見えると、苦手なことがあることをなかなか理解してもらえない。
でも実際には苦労することが多くて、ぐったりして帰ってきたりする…。
だったら、ヘルプマークのようにわかりやすいものを身につければいいのではないかと思う。
でも、思春期なこともあって、そういうのは嫌だ!と言う。

できるだけ出かけないようにすればいいじゃん…。


いや、そういう訳にいかないし…。


母の思いは空回りしているだけのような気がしますが、それでもグッズを作っていこうと思います。
少しでも誰かの役に立てたら嬉しいから…。