山内康彦先生の講演会に行ってきました!
テーマ
『特別支援が必要な子・不登校の子の学習支援と進路を考える』
『中学校の成績のつけ方から今すべき学習支援を考える』
一般社団法人 障がい児成長支援協会 主催
講師:山内 康彦先生(学校心理士・ガイダンスカウンセラー・特別支援学校専門職修士)
小・中学校で配布されたお便りを見て、申し込みました。
まさに、娘のことで悩んでいる私にドンピシャの内容ではないですか!
2時間の講演で、参加費は無料です。
山内康彦先生とは、どのような方なのか
(他の講演会の案内などから抜粋したプロフィールをご紹介します。)
講師プロフィール
専門は特別支援教育と体育。教員を20年務めた後、教育委員会で教育課長補佐となり、就学指導委員会と放課後子ども教室等を担当。その後、岐阜大学大学院で学び、修了後 小中高・特別支援学校の専門職修士となる。
学校心理士やガイダンスカウンセラーの資格も取得。自身も子どもの頃、多動性の障がいがありながら、親の愛情や良い先生とのご縁、仲間に支えられて教員になれたことへの恩返しに「すべての子どもたちが、共に学び共に育つ社会の実現」を目指し、障がい児成長支援協会を設立。現在は協会長として、講演会活動や障がい児施設の指導を積極的に行っている。
教育現場で数多くの子どもたちと関わってきた経験から話される講演は、全国各地で好評を得ている。
長年、教師をされてきたので、子どものことをよく理解していらっしゃいます。
とにかく、エネルギッシュな感じ。そして、とてもユーモアがある。お話がとても面白いので、2時間があっという間に感じられました。
まず、我が家の悩み
娘・ナッツは現在中学1年生。保健室登校をしています(毎日3時間で下校してくる)
クラスに行って授業を受けるのは、数学と理科だけ。
それ以外は、保健室や支援教室で自習をしています。
ナッツが通う中学校の支援教室は、3クラスあり、ナッツは中間教室と呼ばれる教室に行っていますが、そのクラスには決まったカリキュラムはないため、そこで過ごしても、成績の評価の対象にはならないそうです。
1学期の中間テストは欠席して受けませんでした。
テストを受けないと、評価がつかなくなると思いますが…と言う担任の言葉に焦り、期末テストはなんとか受けることができました。
授業を受けないので、自習するしかない。
しかし、ナッツは勉強が大嫌い。
放っておいたら、勉強をしないでずっとアリの観察をしてしまう娘ですから…
今は、毎日、学校で購入した問題集を教科書を読みながら解かせています。
丸つけをしてあげて、間違えたところを一緒に確認する。
「教科書を読むのが面倒臭い」って言うので、大切なところ(太字)にマーカーを引き、ここだけ読めばいいから!と。
そうやって勉強を見てあげていて、気づいた。
漢字が苦手なのは知っていたけれど、英単語を覚えるのも苦手だ!
そして、何度言っても、ピリオドやクエスチョンマークを書き忘れることがある。
文の最初の単語の頭を大文字にするのを忘れる。「b」と「d」を書き間違える。
学校の勉強はどんどん進んでいく。
勉強が難しいので、ナッツの意欲はどんどん低下していく。
2学期の中間テストは、受けることは受けましたが、ほとんど勉強しませんでした。
もちろん、悲しい結果です。
そして当然考えるのが、中学卒業後の進路です。
どうすればいいの??
そんなタイミングで、今回の講演会を知り、わらにもすがる思いで参加してきた訳です。
講演会から まとめ その1
山内先生が挙げていた、中学卒業後の進路の選択肢です。
① 通常の高校(公立・私立)へ進む。
② 支援学校へ進む。
③ 通信制高校 サポート校へ進む。
④ 高卒資格が取得できる専門学校へ進む。
まず、①の通常の高校
通常の高校へ進学するには、中学校でのテストの結果と内申書の点数が影響します。
高校では授業は1日約6時間あり、赤点を取って単位が取得できない教科があると、留年の可能性もあり。
『クラスで授業を受けていない、提出物も全く出していない、テストの成績も低い』ナッツの現状では厳しいのではないか…。
仮に通常の高校に入学できたとして、毎日6時間の授業を受け、さらに全ての教科で単位を取って卒業することはできるのか。あんなに勉強が嫌いなのに。
②の支援学校
支援学校は、基本的に勉強はせず、職業訓練をする場だと伺いました。
そして、支援学校に行くと障害手帳を持つことになります。
そして、ほとんどの支援学校では、高校卒業の資格は得らないそうです。
③の通信制高校 サポート校
中学校での内申書などは関係なく、欠席日数や不登校なども関係なし。
通常学級だったか、支援学級だったかも関係なし。
通常の高校より授業時間が少ない。少人数で、ゆっくりしたペースで教えてもらうことができる。
山内先生は、岐阜県に通信制高校 サポート校を開講されたそうです。
先生のお話を聞いていると、いいな~、その学校!と思いますが、岐阜県に通うのはまず難しい…。
後で調べて見たところ、「サポート校」と言うのは、通信制高校を3年間で卒業できるようサポートするための学校であり、サポート校だけでは高卒資格は得られないとのこと。
高卒の資格を得るには、通信制高校+サポート校での卒業が必要です。
④の専門学校
専門学校ではあるけれど、高等学校卒業の資格も得ることができます。
通常の勉強+トリマーや美容師、事務職、デザイン系など専門分野の勉強を学んで資格を取得することができます。
首都圏などに多く、残念ながら、我が家から通える範囲に学校はないようです。
『高等学校卒業』が必要な理由
専門学校や短大・大学に進学するには、高等学校卒業という条件が必要になります。
支援学校の高等部を卒業すると「高等学校卒業と同等の…」とは言われていますが、実際には「同等」では、高等学校卒業とはみなされず、就職に不利であったり、専門学校や大学を受験できないケースが多いようです。
(※支援学校でも、高卒の資格が取得できるケースもあるそうです。)
ナッツがさらに進学を目指すか今の時点ではわからないにしても、将来やりたいことを見つけて進学したい!となった時に、高卒の資格がないから進学できない、となったら悲しい…。
そうすると、ナッツの場合、通信制高校が一番良さそうな気がします。
ただ、学費が高い!というのがネックではありますが…。
しかし、ここで、山内先生がおっしゃっていた大切なこと!
自分で選択させる!
これは、進路に限ったことではありません。
・親や先生が決めてはいけない。
「お母さんがこう言ったからやったんだよ。私が決めたんじゃないからね!」となる可能性大
・本人に考えさせて決めてはいけない
子どもはまだ考えが足りない部分が多い。「こんな風になるとは思ってなかった」となる可能性大
そこで、自分で選択させる
こういう選択肢があるということ。それぞれのメリット・デメリットを説明した上で、自分が納得して決めるということが大切です。
これは、パニックを起こさないためにも有効だそうです。
例えば、「明日のお昼にお寿司屋さんに行こう」と子どもに話します。
ところが、当日行ってみると、ものすごく混んでいて1時間待ちだと言われました。
諦めようか、他のお店に行こうか…。
当然子どもは怒りますよね。うちも以前、ナッツが怒り狂ってパニックになったことがありました。
そこで、「お寿司屋さんに行こう」と子どもに話す時、
「でもね、もしかしたら、ものすごく混んでいるかもしれない。どれくらいまでなら待てる?」と聞く。
「う~ん。30分くらい」
「じゃあ、もし30分以上待つようだったら、お寿司屋さんは諦めようか。」
そして、その後どうするのか(他のお店に行く。何かを買って家で食べるなど)あらかじめ決めておくと、いざお寿司が食べられなくなった時もパニックを起こさず納得することができるのだと、山内先生はおっしゃっていました。
確かに。うちも、過去に何度もナッツのカンシャクで大変な思いをしているので、回転寿司に行くときは、必ず予約しておきます!
予約してあっても、少し待たなければいけないこともあるよ!ってこともあらかじめ話しておくので、今はそういうことで怒ることはありません。
「冷静な時に、自分で選択をさせる」それが大切ですね。
話を戻しますと
ナッツの進路です。
ただ漠然とした不安を持っていました。何も知識がなかったし。
このまま2、3年生になっても保健室登校だったら、通常の高校へは行けないのだろうか…。
中1だし、まだ考えなくてもいいのだろうか…。
いや、早くから考えないといけないのです!
内申書は中2から評価の対象となるとのこと(都道府県によっては、中1からのところもあるそうです)
ナッツが目標を見つけて急変し「私、勉強頑張る!学校行く!」ということになれば、通常高校も視野に入ってきますが、現状を考えると、通常高校に通うのは難しいのではないか。
そうなると、通信制高校が良いのではないか。
しかし、山内先生のお話では
「通信制高校は、あくまでも高校ですから、中3の卒業時に「中1の基礎学力」は必要です。」とのこと。
やっぱり、勉強しなきゃ!
最低限の勉強はできるように、またナッツと頑張ろう!
あ、でもここで一人で突っ走ってはいけません。
あくまでも、選択するのはナッツですから。
でも、こういう選択肢がある、こういう進路があるということがはっきりわかったので、漠然とした不安からは解放されました。

講演会から その2
子供達の行動の理由
どうしてあんな行動をするの??
それは、伝達物質がうまく伝わらないからなんだそうです。
頭ではわかっているのに、行動に結びつかない。
- 脳の伝達物質が伝わる時の、蛇口のようなものが閉まっているケース
- 伝達物質が逆流して戻ってしまうケース
それぞれのパターンには、有効とされる薬があるそうです。
コンサータ(閉まっている蛇口を開く薬)
ストラテラ(逆流を防ぐ薬)
これらの薬は、約70%の人にしか効かないと言われ、薬が効かない人もいるそうです。そして、やはり副作用もあるそうです。
薬と聞くと、やはりちょっと抵抗を感じたりもします。
でも、子供のうちは自分をコントロールすることが難しいので、薬の力を借りることも必要ではないかと。自分の子供に合う薬を探してみるのも一つの方法かもしれませんと、山内先生はおっしゃっていました。
自分のタイプを知ることで、自分をコントロールしていけるようになる
山内先生自身、発達障害があるそうです。酔っ払うと裸になってしまう。スポーツの大会で負けると、悔しくて怒りがおさまらないなど、ご自身をよく知っているため、「外でお酒は飲まない。大会には出ない。」などなど、自分のルールを作っているそうです。
子どものうちは、一通りいろいろなことをやらせてみる。→ダメだったらやめる。
いろいろ試して行く中で、子どもが得意とすることを見つけられるかもしれない。
講演から その3
親として心配なのは、やはり将来のことですよね。自分で働いて、世の中で生きていけるのか。
山内先生がおっしゃる、15歳までに身に付けたい社会性(特に大切なこと)
・身辺自立
朝、自分で起きる。自分で身支度ができる。
・自分で会社に通える力
電車やバスに一人で乗れる
・誰の指示でも聞ける
親と先生の言うことは聞くが、他人の言うことが聞けない。
家や学校ではできても、外ではできない。では困ります。
確かに。ナッツはもう中学生ですが、自分でやる力、低いかも。。。
これも今後の課題です。
こういう講演会は、初めて参加しました。
参加してよかった!
というのが、素直な感想です。
つい、自分だけでうじうじと考え込んでしまうタイプなので、やはり専門家のお話を聞くことは大切ですね。ネットの情報だけでは得られないことは多い。
これからは、できるだけ外に出て行こうと思います。
山内先生関連URL
●株式会社サーバント(放課後等デイサービス事業の運営)
●平成義塾館高等学院 中京高等学校通信制課程サポート校
http://www.heisei-gk.com/index.php
その後、もう一度山内先生の講演会に参加させていただきました。
その時の記事もぜひ読んでみてくださいね。
