子育てと「発達障害」

山内康彦先生の講演会に参加してみた。再び!

テーマ
『発達障がいの当事者が語る二次障害を防ぐ子育て』
~なぜ心理士山内先生は、二次障害を起こさなかったのか~

一般社団法人 障がい児成長支援協会 主催
【講師】山内 康彦 先生(学校心理士・ガイダンスカウンセラー)

前回初めて山内先生の講演会に参加させていただきましたが、一見ちょっと怖そうな印象とは正反対に、とてもユニークな先生の人柄とトークにすっかり引き込まれてしまいました。
親としては子どもの将来が一番心配ですが、前回の講演で、中学卒業後の進路や就職状況の実態等のお話を伺うことができました。
知識不足で日々悩みがちな私ですが、娘の将来に対するモヤモヤが少し解消された感じです。

これは私だけでなく、夫にもぜひ聞いてほしい!ということで、今回は夫婦揃って参加しました。山内先生は超多忙で、すでに再来年まで講演会や相談会等の予定がいっぱいのようです。こうして2回も続けて参加できたのは、幸運だったのかな…と思います。

前回の講演会についてや先生のプロフィールなどは、こちらの記事も読んでみてくださいね。

山内康彦先生の講演会に参加してみた!山内康彦先生の講演会に行ってきました! テーマ 『特別支援が必要な子・不登校の子の学習支援と進路を考える』 『中学校の成績...

今回は「二次障害を防ぐ子育て」がテーマです。

先生ご自身の生い立ち~ご両親や学校の先生は、山内先生にどのように接したのか、先生や親以外にどんな大人とかかわったことがよかったのか、仲間関係のトラブルをどのように乗り越えていったのか。といったお話を中心に、発達障害のある子どもへの接し方や支援の仕方、また、思春期への対応の仕方についてのお話を伺いました。

そもそも、二次障害とはどういうことなのか??

漠然とした知識しか持っていないので、ちょっと調べてみました。
参考にさせて頂いたサイトは「働くチカラWEB」です↓

http://hataraku-chikara.jp

二次障害とは
発達障害を原因として、後天的に精神障害などを発症すること
うつ病や不安障害・自律神経失調症などがあげられます。

  • 親が厳しくしすぎた結果、子どもが自分に自信を持てなくなった。
  • うまく人間関係を作ることができず、いじめられた。
  • 社会人になってから、企業に適応できずに辛い思いをした。
  • 過去に傷ついた体験がトラウマとなって、前に進めない。 など

発達障害だけでも、仕事や生活の上で困難な場面があるのに、さらに二次障害を起こしてしまうと、困難が一段と大きくなってしまいます。
それを防ぐにはどうしたらよいのか?
今回の講演会の中で、ヒントを教えて頂きました。

発達障害がある山内先生が二次障害を起こさなかったのはどうしてか?

先生が小学生の頃の成績表(一部)を見せて頂きましたが、
「よい・ふつう・もう少し」のうち、「もう少し」がほとんど。
でも先生は、国立大学を卒業して教員になりました。
サッカー、スキー、ギター、手品など得意なことがたくさんあって、なんと船舶免許までお持ちだそうです。旅行に行くのが楽しみで、やりたいことがたくさんあるから頑張って働くんですよ~!と生き生きと語る先生。
陽の気が満ち溢れていて、陰な部分は全く感じられない。
先生が二次障害を起こさなかったのは、ご両親や学校の先生をはじめ、周囲の方々の力が大きかったそうです。

先生のご両親の子育て

先生は子どもの頃、親から「やりなさい」と言われたことは一度もないそうです。
なぜか?
「叱ってもやらないから!」というのが答えでした。
そのとおり!何度言ったところで、「わかってるよ!」「今やろうと思ってたのに!言われたからやる気なくなった」って。喧嘩になることがしょっちゅうの我が家です。
やろうと思ってたなら、さっさとやれよと思うけど(怒)
じゃあ、どうやったらやる気にさせることができるの?

例えば、『片付け』の場合。
先生は小さい頃プラレールが大好きだったそうで、部屋中にレールを敷いて遊んでいました。プラレールは、片付けるのが大変ですよね。
夕飯の前には片付けたいので、先生のお母さんは…

◆まず「6時になったら片付けをしようね。」という約束をします。
◆10分前くらいになったら、「あと10分で片付けの時間だけど、どうする?」と声をかけます。そろそろ片付けの時間だというのはわかっていても、なかなか片付けを始められない。
◆5分前にも声をかける。
◆そして、6時になります。お母さんは「6時になったから、一緒に片付けよう」と言って片付けを始めます。
その時、遊んでいる場所から離れた、遠いところから片付けを始めるのだそうです。
普通なら、視界に入りそうな近い場所を片付け始め、さっさと片付けてよ!オーラを出したくなるところですよね。子どもは遊んでいるところを片付けられてしまう訳ですから、当然怒って喧嘩になる…。
だから、遠くから片付け始める。そして、全部は片付けません
◆先生が片付けを始めると「お母さんは夕ごはんの用意をしなければいけないから、もう行ってもいいかな?」って、さり気なくその場を離れ、残りの片付けを本人にやらせるのです。
◆そして、片付けができたら、ほめる!

「すごいね!ちゃんと自分で片付けられたね!」(実際はお母さんがほとんど片付けているが、そこには触れない)
そして徐々に、自分で片付ける量を増やしていく。
小学校の高学年になる頃には、先生は自分1人で片付けられるようになったそうです。

エンジンがかかりにくい→親がエンジンをかける→かかったら、離れていく
やらないのは、エンジンがかかりにくいからであって、かかってしまえば自分でちゃんとできるのですよね。
口で命令するだけでは、子どもはなかなか動きません。横で一緒に行動するという、子どもに寄り添う気持ちが大切なのだそうです。

ご両親は、山内先生にいろんなことを教えたり、経験をさせてくれました。
お父さんは、手品や釣りを教えてくれました。
初めて釣り堀に行った時、お父さんは、なんとあらかじめ魚を買って放っておいたのだそうです。水の中にはたくさんの魚がいるわけですから、面白いように釣れます。
行く前は「魚もミミズも大嫌い」と乗り気でなかったものの、やってみたら「おもしろい!」と、すっかり釣りが大好きになったそうです。

きっかけを大人が作ってあげる。一緒にやって、怖くない・安心だということも教えてあげる。そして、「できた!」っていう喜びや成功体験をさせることで、子どもが得意なことを増やしていく。
マイナス面を埋めていくよりも、得意なことを探して伸ばす方がいい。親がある程度、意図的に豊かな経験をさせていくことが大切なのですね。

認めてくれる大人を増やす

小学校の高学年くらいになると、親の言うことがうっとおしい!などと、反抗的になってきたりします。親から褒められても素直に喜べない。
そんなとき、親以外の大人が励ましたり認めてくれることが、大きな力になるそうです。

山内先生の場合は、叔父さん、学校の先生、習い事の先生など、あたたかく受け入れてくれる大人が周囲にたくさんいたおかげで、二次障害を起こすことがなかったと言います。

お友達の存在も大切なのですが、でも、子どもというのは、まだ未熟です。
発達障害という課題のある子と、まだ未熟である子ども同士で、うまくいかないことがあるのは当たり前なのだそうです。
子どもを受け入れてくれる子どもを探すのは難しい。それならば、子どもを受け入れてくれる大人をたくさん増やせばいい。

自分を認めてくれる人が多いほど、子どもは安定してきます
一番身近な存在は、両親や担任の先生です。両親や先生に受け入れてもらえないと、子どもは不安定になって不登校・非行に走ったりするわけです。

学習面での支援

子どもは、できるようになりたいし、ほめられたい。やらなければならないのはわかっているのですが、でも、それができない。
一番苦しんでいるのは、実は子どもなのです。
先ほどのお話と同様で、やはり学習面においても、大人がエンジンをかけたり寄り添ってあげることが大切だと言います。

まず、自分の子どもの特性を知る

病院などで心理検査を受けるというのも一つの手段で、子どもの得意・不得意を客観的に知ることができます。

知能検査・発達検査によく使われるものとしては
「田中ビネー、K-ABC・K-ABCⅡ、WISC-Ⅲ・WISC-Ⅳ」などがあります。
知的特性などを把握し、その子にあった支援を考える材料となります。

その子にあった学習支援の例

言語理解が弱い→個別学習で丁寧な説明をする必要がある

知覚推理が得意→絵や図、写真等を使って説明する

ワーキングメモリーが低い→学習内容や時間を減らす

処理速度が遅い→時間にゆとりをもって、じっくり取り組ませる。学習内容も減らしてあげる

ちなみに、我が家の娘ナッツは、WISC-Ⅳを受けました。
言語理解力は高いのですが、ワークングメモリーや処理速度はちょっと低めです。
集中できる時間が短く、一度にたくさんのことをやらなければいけないと、パニックになります。
理解力はあるから、頭ではわかっているのに、実際にやろうとするとできなくてイライラしたり、落ち込んでしまったりするようです。

ナッツは、まあちょっと個性は強いけれど、普通に見えるので、ずっと通常学級で過ごしてきました。みんなと同じことを求められるけど、実際にはできなくて、本人は苦しんでいる。
いつも、宿題はなかなか終わらせることができませんでした。
親としては、宿題はやらなくてはいけないものという思いがあったので、一緒に見てあげながらなんとかやらせてはいましたが、「もう無理!」とブチ切れて、カンシャクを起こすこともしょっちゅう。
今思えば、ナッツの限度を超えていたんですね。

山内先生は、『カレーライス理論』というお話をされました。
カレーライスは、3つに分けることができます。

  • カレー→絶対に必要なもの
  • ごはん→減らしても大丈夫なもの
  • 福神漬→なくてもいいもの(できたらやればいいもの)

宿題も同様に、絶対に必要なものはやるとして、減らしてもいいもの、できたらやればいいものは、その子の能力に合わせて調整すると、負担を減らすことができます。
たとえ通常学級にいたとしても、子どもの特性を理解して配慮をしてもらうことが必要なんですね。

そして、宿題だけに限らず、学習面においても「捨てる勇気を持つ」ということ。
教科書の内容をすべて覚えようとするから、みんなから遅れてしまうわけで、基礎基本を重視して、応用は捨てる。そうすれば、応用に時間をかけない分、基礎基本に力を入れることができます。みんなから引き離されないための努力も必要になります。

全部できなくたっていいんですよね。大切なところだけ押さえればいいんだ!って思ったら、少し気が楽になりました。まあ、ナッツの場合、捨てすぎなんじゃないの?!って心配になりますが…。

特別支援を必要とする子の思春期への対応

通常の子ども達は、性に関する情報が「同級生」や「先輩」から入ってくることも多いです。しかし、不登校だったりすると、情報を教えてくれる存在が少なくなりがちです。だから、学校や保護者が本人に教えることが必要になってくると言います。

通常の子ども達は、知識として理解すれば、場の雰囲気や理性、自己統制力で我慢することができます。しかし、特別支援の子どもは、食欲や睡眠欲と同様に我慢をすることが難しいのだそうです。

そして、家庭で教える場合、『男の子』には、父親が教える。母親は関わらない方が良い。
『女の子』には、母親が教える。父親は関わらない方が良い。と、山内先生はおっしゃっていました。

確かに。ナッツは中1で、思春期ですから。父親がうざいと嫌がることも多々あります。
そんな父から性の話などされたら、完全に拒否したくなりますよね。
今はネットでどんな情報も簡単に得られてしまう時代ですが、逆にそんな時代だからこそ、きちんとした知識を身につけさせることが大切なのかもしれません。

ナッツが、「クラスの友達は、彼氏とラインしているんだって」と言ってました。
ええ~?!今の中学生ってすごいなぁ。私のときは、高校生の頃にやっとボケベルが現れたというのに。
なんて、感心している場合ではなく、親が知らないところで子どもはどんどん進んでいってしまっている。まだまだ子どもだなんて思っていられないんですね。

そうは言っても、自分の子どもに性教育をするのはなかなか難しいものです。
そんな時は、本を利用するのもいいですよ。とのこと。
先生が紹介してくださった本です。

男の子用
おれたちロケット少年
子どもの未来社 著者: 手丸 かのこ、解説:金子 由美子
「勃起」「精通」「セックス」「エイズ」など男の子の性について答えるマンガ。

女の子用
ポップコーン天使
子どもの未来社 著者: 手丸 かのこ、監修:山本 直英
女の子がこっそり知りたい「月経」「ナプキン」「胸のふくらみ」「ブラジャー」「セックス」などについて答えるマンガ。

私も読んでみました!
小学校高学年くらいから自分の体が変化してきた時に湧いてくる疑問を、マンガでわかりやすく解決してくれます。かわいらしいマンガなので、子どもにもすんなりと入っていくのではないでしょうか。
テーマごとのマンガのお話の後に、Q&A形式の説明が載っているので、さらに詳しいところまでわかるようになっています。

今さらながら、自分で読んでみて「へぇ~。そうだったのか」と気付いたこともありました。
セックスに関することなどは、まだ小学生には早いのでは?とも思うけれど、大人の体に変化しつつある時期だからこそ、きちんとした知識を身につけておくことが大切なんだと思いました。